欧州遠征録【3】パリからミュンヘン、フュッセンへ陸路移動。
今日はやけに目玉が腫れぼったいし、まぶたが異様に重たい。
こんな状況で記事を書くのもあれなもんだが文章書くのは好きなので。
最近は毎朝ほぼ5時やら6時やらに目が覚めてるみたいだ。じじいだ。
美容師には「兄さん若い人とは思えないほど肩凝ってますねえ(嘲笑)」と笑われ母親には「風呂の湯をそんなに熱くするな爺さん」と罵倒される。いや1度しか上げてないが。。。43度ってそこまで高いお湯加減かな。高いな。さっき入れたら確かにな、ってなったわ。
妙だ。こんなに毎日筋トレやらランニングやらを繰り返しているというのに老化というのは確実に進行するもんだなあ、とやけに感心してしまう。
こんにちは。これに加えて何かと記憶喪失しがちならべるです。
昨日の晩御飯、あなたはすぐに言えますか?俺は言えません。悲しいことですが。
今回で遠征録も3回目を迎えました。書き始めといてなんだが何回続くのやら分からんので嫌になる。
嘘です。記事のネタが続くのはありがたいこと
④国境突破、ドイツ南部の都市フュッセンへ
朝早く。5時くらいに起きた我々は大忙しで身支度を整える。
ホテルを飛び出して朝7時の電車に飛び乗って我々はパリを脱出し、ドイツ南部の大都市ミュンヘンへ向かい、最終目的地フュッセンを夜までに目指すのであった。
陸路で国境を越えるという人生初の体験だよ。すでにワクワクが止まらない。
身支度の時、何せ当時コンタクト素人だったのでコンタクトレンズを目に入れるのが下手すぎてひどく手間取る。旅行前に初めてコンタクトを買ったのでね。
そんな時、後ろにいた先輩のTくんが一言「僕はコンタクト童貞」などとよく分からない自己紹介をしていたのだが、正直何と突っ込んだらいいかよく分からなかったし何せ時間がなかったのでスルーした記憶がある。今思えばなかなかにパワーワードだったので、今でもこうやって記憶に残っている。じわじわくるね。
夜明けまえの真っ暗なパリを歩くのはなかなかにスリリング。
明け方とはいえ暗い時間に外国の街を歩くのはこれが初めてなのだ。その恐れももっともだろう。
写真を撮る余裕なんてなかったのでこの時の写真は一枚も無い。今思えば撮っておけばよかったかも、なんて気持ちもあるが露光とかシャッター速度とか、ミラーレス買ったばかりの自分には全く使いこなせず(今も全然使いこなせていないが)暗闇でカメラを使うという考え自体存在しなかったようで。
タクシーを使えばいいものを「いやこんくらい歩けるっしょ」というTくんの無茶振りで二人、暗い街路をとぼとぼ歩く羽目になった。この先こういうことが多々ある。
いや本当に歩けるのか…?地味に遠いんだけど。。。
目指すはパリ東駅。この駅からドイツやルクセンブルク方面に向かう列車が出発する。
第一次世界大戦の際には数多くのフランス軍兵士がこの駅から西部戦線に向けて出征したという。歴史のある駅なんですなぁ(1800年代中頃に開通したとか)。
駅に至るまで通行人にはほとんど出くわさなかった。逆にそれが怖さを増す。
ひったくりとかやばい連中(ネオナチとか)に絡まれぬよう常に周囲を警戒しながら歩く。ここは日本じゃねえ。警戒しすぎてしすぎることはないからね。
鉄橋を越え(ほんまにこんなところ通れるんか…?)20分くらいでやっと駅の裏手までたどり着くことができた。
駅の裏手は、その、なんか。暗いし、汚い。
小便臭いし酔っ払いの若者どもが騒いどる。
まぁ、でも心配していたような怖さとかそういうのはあまりなかった。
福岡の天神とか、あの辺の飲み屋街の方がもっとやばいけどね。あそこはマジのスラム街ですし。ヨハネスブルクだ。ただちにコンドル軍団(※ゲルニカ空襲を敢行したドイツ空軍)による空爆を要請する。
そんなこんなで、おそらく6時ごろに駅に到着。
9月の6時と言うともっと明るい気もするが暗いし何より薄ら寒い。駅に到着できたはよかったのだが、ここでちょっとした困りごとが。
前の晩にネットで調べた限りでは確かにドイツへ向かう高速列車(ICE)が走っており、予約なしでもその場で切符が買えるということだ。しかし切符を買うための券売機を見つけるのに我々はしばし翻弄される。
完全にその辺りの情報は俺に任せっきりだったTくんの顔に急遽不安の色が滲む。
「本当にミュンヘンまで行けるの?」的な圧を背後からひたすらかけてくる。だだだ大丈夫だってと力説するが(力説できていないが)、意外と妙なところで心配性な彼の不安を払拭するためにも何としてでも切符の買い方を探し当てねばならない。
ようやく駅の端に券売機らしきものを見つけ、そこでミュンヘン行きの切符の表示画面を探し当てることに成功。
フランスの券売機とはいえ、きちんとフランス語以外にも英語表記やドイツ語表記も選択できるのでとてもありがたい。英語表記を選択し、200ユーロ(約2万円)ほどを支払ってなんとか切符の購入に成功。こうして国境を突破することが叶いそうだな。助かる。
少し待ってから乗車時間20分ほど前になってホームに向かう。電光掲示板のおかげで乗り場はそこまで迷わずに済んだ。
初めての長距離列車移動なのでワクワクは十分、ドキドキや不安も十分。
驚いたのはパリの地下鉄と違って改札をくぐる必要がないこと。
日本では地下鉄でも新幹線でも改札を通る必要があるが、日本で言う新幹線にあたるこのICEはどうやら車内で切符を見せるだけでいいらしい。
まあ、なんか改札無い方が外国の駅って感じだね。
なんとか座れました。
これで一安心。それではミュンヘンまでの約3時間の旅を、のどかな景色を楽しみながら過ごしましょう。
ずっとカメラを構えて車窓からの風景を眺めていた。
NHKだったかなんだか忘れたが車窓からの風景とか、とにかく外国の景色をただ垂れ流す番組、ああいうの大好きなんだよ。だから実際にそういうことするのは本当に憧れでした。
ミーハーなのでクラシック音楽を聴くなどしてみる。モーツァルトはオーストリアの作曲家だが、フランスの景色だろうと何だろうとこう綺麗なら何だって合うんだな。
いよいよフランスとドイツの国境地帯に差し掛かる。アルザス地方といえばストラスブールという都市が有名。戦争によって何度もドイツになったりフランスになったりを繰り返したが、最終的に第二次世界大戦でのドイツの敗北によってその所有権はフランスへと移ることとなる。
そのため街にはフランス様式の家やドイツ様式の建物が混在していて、そのせいか非常に美しい街並みを形成している。
今回もそんな歴史あるストラスブールを観光できたらよかったのだが時間がないので通り過ぎることに。残念だ。ホワイトア○バムとかいう某エロゲギャルゲのロケ地でもあるよね。
さて、いつのまにか国境を通過していたらしい。カールスルーエとかいう都市で電車が一旦停車。車窓から停車駅の表示板を見つめると、それまでずっとフランス語だったのが、ようやくドイツ語に切り替わっていた。
ついに我々はドイツ領内に足を踏み入れたのである。
ちょっと感動した。でも国境を跨いだ感じなどしない。今こそ「国境というものは人間が引いただけの線に過ぎない」という誰かさんの言葉が思い起こされる。
まあそうは言ってもね、国境跨いだだけで随分と言語も人種も変わっちゃうんだから国境ってものはそう簡単には決して消えないし、やっぱり見えなくてもずっと残るもんだと思いますよ。
何度か駅で降りたりしたが単なる乗り換えだし、順調にミュンヘンに向かっていた。何事もない静かな列車旅だ。
だがのんびりとくつろいで座っていた我々の何列か前の座席じゃ…なんか、昼間っからやけに賑やかじゃないの。
酒を飲んで酔っ払っているのか、若い大学生なのか自分たちと年齢がほとんど変わらないようなドイツ人の若者たちがわいわい騒いでいる。日本で言うところのパリピか。
観察するだけで面白い。これぞ異文化交流の醍醐味…
うわ、こっち来たやんけ。
二人か三人の男たちに、一気に我々小柄なヤーパン(日本人)は囲まれてしまう。
ドイツ産マッチョに囲まれちまった。怖い。さぁ、こういう時はどうすればいい?
でもちゃんと英語で話しかけてくれた。あら、意外に優しいのね。。。
「あんたらどこに行きたいの」
まずはミュンヘン行ってその先のフュッセンっていう街まで、と答える。
「俺たちからこのイカしたサングラスと酒、買ってみねえか?」
大体こんな感じの会話が交わされた。サングラスっていうか、、、あんたが掛けてるやつだろ?それ、どう見ても日本の百均で売ってるようなパーティーグッズの類じゃねえか。少なくともイカしてはない。てかタダじゃないのか。
あとちっちゃいプラスチックに入ったレモンリキュールかなんかを渡された。
というか買わされた。
いくらだったっけな、たしかサングラスとセットで5ユーロ(500円)くらい渡した。地味に高いな。
とにかく受け取っただっさいサングラスを掛けて俺はレモンリキュールを握りしめる。
「おら、飲んでみろ」
おう、飲んでやるとも。ジャップをなめるなと意気込んでぐいっと一気に飲み干した。量も度数も大したことがないのでちょっと拍子抜けだ。てっきり強いもん想像してたから。
すると場がわあ、と盛り上がる。
いいねえ、こういう体験は貴重だ。
わけの分からんシチュエーションだが、なんだか楽しくなってきたぞ。
というか電車で騒いでても周りの乗客は全然嫌な顔をしていない。むしろ我々のやりとりを見て笑っている具合だ。駅員も全く問題なさそうに通り過ぎていく。
日本とは全然違うもんだなあと思い知らされた。
隣にいたTくんももらったサングラス(眼鏡…?)をノリノリで掛け、そんであいつら、最後は一緒に写真を撮る。いいなあ、俺も自分のカメラで撮っておけばよかったなあ、と今になって少しだけ後悔している。少しだけ。
何事もなかったようにそんなお祭り騒ぎも去り、電車はミュンヘンまであと少し、というところまで近づいている。
車窓から見える景色もとても見応えがあるものばかりだ。
そして電車に揺られて随分長い時間が経過し、ようやく我々は念願のドイツ南部の大都市ミュンヘンに到達した。
ついにドイツの都市というものをしっかりと観光させていただきます。
う〜ん、ミュンヘン。人が多いです。みんな観光客だろうか。
それにしても道がすごく綺麗だ。パリとは全然違うのは素人目に見ても一目瞭然。どういうわけだ。
ドイツ人は綺麗好きとは一般的によく言われるが、どうやらそれは本当のことらしい。ゴミがほとんど落ちていないのである。
どこも清掃がよく行き届いていて安心して道を歩くことができた。これなら旅に不慣れな若者にも、ドイツは初心者向きな観光地と安心しておすすめできるのではなかろうか?どうだ?行ってみたいと思いませんか?
ところでもう昼の2時を過ぎたところだ。
昼は何も食っていないからミュンヘンで遅めの昼食を取ろうとかそんな話をちょうど電車の中でしていたところであった。よし、それならビアハウスに行こうぜと意気揚々とテンションを高めた我々。無類の酒好きがビアハウスに行かないわけがない。
大ジョッキでビールをがっといくのは夢だ。男のロマンだ。知らんけど。
やってきたのはパウラーナービール(銘柄)を専門に扱うお店。なんていう店だったかは覚えていないが旅行雑誌でも紹介されているような有名店であることには違いない。
テラス席でもよかったがせっかくなので中で。
中の方がむしろ結構空いていた。パリでもそうだったがヨーロッパ人はみんな外で飲むのが大好きらしい。もちろんその気持ちはよく分かる。暑い日差しの中で飲むビールは格別なものがあるというのはパリで散々味わったよ。
ラドラーとかいうビールを頼んだ。全部ドイツ語だったしわかんねえ〜ビールなんて全部一緒だろうがオラァ、という軽い気持ちで頼んだが、このラドラーが個人的には失敗した。
ひたすらに甘い。。。( i _ i )
レモン風味のビールといったところだ。好きな人は好きなのかもしれないが。。。
無論甘い酒が嫌いなわけではないのだが少なくともビールは苦いだけで正解という自分にとっては拷問に他ならない仕打ちである。それを一リットルとは…。
欲をかいて大きな葛籠(つづら)を選び失敗した某昔話のばあさんみたいな末路。
みんなも欲をかいて失敗することがないよう。
出てきた料理も先日のパリと同じように憎々しい、、、いや、肉肉しい。
肉まみれである。
どういうわけか。フレンチ野郎もフリッツ野郎も食文化が似てるのならもっと互いに仲良くしろよと言いたいところだが、多分もっと本気出せばフランスの方が断然美味いのだろう。
そりゃ間違いない。こりゃ失礼した。。。世界のフレンチだもんな。。。
いやでもすごく美味しかったですよ。なんせビールに合う合う。ラドラーでさえなければもっと合っただろう。まあ、それを言っちゃおしまいよ。
どこかしら悔やまれるが。
昼を食べ終えて、ややほろ酔い気味に満足した我々はミュンヘンを観光する暇もほとんどなく本日の最終目的地フュッセンに向かう電車に乗らねばならないと駅まで足を早めた。
フュッセンまでの電車に乗っていると、とても穏やかに時間が流れていく。
ミュンヘンから大体2時間程度経った頃か。
景色ものどかで牧歌的な風景が続き、湖がちらほら見えてきてアルプスの美しい山々がそびえ立っているのが目に入ってくると興奮はより一層高まってくる。
ドイツ南部のアルプスに囲まれた地域は本当に美しい。ドイツやオーストリアでクラシック音楽が発展した理由がなんとなく分かった気がする。
風景が音楽と見事にマッチしているのだ。
来たー!
こぢんまりとした駅ですが十分に美しい。
街並みもすごく可愛らしくてカメラが手放せないな。。。
なんだここは。。。
魔法の国か。。。
夜になるとまた景色が一変しますね。というか写真が下手くそだ。ブレッブレ。
夜景は全然撮り慣れていないので申し訳ない。
さて、一旦ホテルにチェックインします。
パリのホテルと違って落ち着いていますがここもまた素敵。
ホテルに荷物を置いた後はまた夜の街を徘徊しようじゃないの。
ただ美しいですね。
朝になったらまた違う景色が見れるんだろう。
夜何食べたか忘れたんですけど、多分何も食べなかったんじゃないんですかね。お菓子くらいか。なんせ昼遅くにあんなにボリューミーな肉を食って腹がいっぱいだったので。
というか街中を歩いてて思ったのは、こんなにも夜が静かで治安がいいのかと驚きました。まるで日本にいるみたいだね。
写真を見てもお分かり頂けるようにゴミも全く落ちていない。人気も少ない。静かな田舎の観光地ということもあるのでしょうが、この後ドイツの様々な大都市を見ても、やっぱりドイツの治安の良さといい、街の清潔感は非常に好きになる。
我々はほとんど何も買うこともなく、ホテルに戻ることにする。
というか食料品を売る店らしき店が全くないじゃないか。ビールを買いに来たはずなのに。
そうか、ヨーロッパでは早く店が閉まるってことをすっかり忘れていた。。。
◆おまけ◆
先輩は疲れのあまりに壊れてしまった。もうどうにもならない。
今日電車の中で例のドイツ人にもらったクソダサい眼鏡を喜んで掛けているので余程気に入ったらしい。
でもあの眼鏡、いま手元にないんですよね。
どこにいったんでしょうね。。。捨てたのかもしれないな。。。
そういうわけでようやく長い長い1日が終わりました。しかし無事に到着できて本当に良かったです。
次回は念願のノイシュバンシュタイン城に向かった話を書きましょう。
ではでは、次の記事もお楽しみに。