リヴォフの地下水道

旅行記や本のレビューや歴史など。知識ひけらかす雑談とか。ロシア・ウクライナの文化愛してる。星井美希トナカイ担当P。

メリーポピンズ

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観る気は無かったし、ましてやレビューをあげることになるとも思わなかったこの映画だがまだ余韻が消えぬうちにと感想文をつらつら書くことにした。というか気づいたら書いてたわけよ。筆が動く動く。

 

最初に一言。最高と言わせてほしい。

しかし映画がどう最高だったとか、そんな分かりきったことをわざわざ書くのも気がひける。。。

感想文なんかそもそも下手なんですよ昔っから。

全然書けへん。ろくに書いた試しがない。

それに加えて俺の脳みそに眠っている語彙を捻り出すだけのおつむも足りねぇ、、、

なんだよ結局ありきたりな感想に終始してしまいそうだな、まぁ、それでも勘弁してくらさい。

 

メリーポピンズ・リターンズはここ最近ではなかなかの良作である。

音楽映画に弱すぎるというので完全にこれは俺による贔屓目の評価だが。

だって音楽がよすぎる、衣装がよすぎる(可愛すぎる)、時代背景がよすぎる(世界恐慌と言うと1929年か)ので完全に俺好み。

女優さんも非常にお綺麗。俺のイチ押しは主人公・マイケル・バンクスの姉、ジェーン・バンクス役のエミリー・モーティマー氏。この方はとっても可愛らしい。

仲良し兄弟のせいで、こっちの頬も緩みまくってしまう。

 

ちなみに本作は1964年に発表されたメリーポピンズ(初代)から約20年後のお話。

なのでこの主人公の兄弟は子供の頃メリーポピンズに教育を受けていたってわけだ。そして本作ではそんな父親になった彼マイケルの三人の子供達のもとに、全く老けないメリーポピンズが現れてストーリーが展開していく。

前作を観たのは中学の時だから、それからほとんど10年も経過しており正直その内容なんて全部頭から抜け落ちていた。

ああ〜〜〜もう一度ちゃんと観ておけばまた面白みも増えたんだろうなあ。

なので、前作を観なくても本作だけで十分楽しめるのだが、ぜひ前作をおさらいしてから観にいくことをオススメしたい。その方が百倍楽しめる。

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幼少期の兄弟(1964)

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それがこんなにいい大人になっちゃって。。。

音楽に関してはもう…聴くだけでウキウキしてしまう魔力があるわけで。完璧だ。

つまりディズニーランドに来たような気分だ。映画館がテーマパークになったかと錯覚してしまう。

1800円払うだけでインパできるんだぜ?(滅茶苦茶な謳い文句)

まぁ、べた褒めだけじゃあ感想としてはあれなのだが、しかし厳し目に見ても中盤の中だるみを除けばなかなか良かったんじゃないかな、と思う。

少し集中力が途切れてしまったのがね。

映画の世界に無事のめりこめていたかどうかの一つの判断材料、指標として自分の腕時計をちらりと確認するかしないか、というのがある。

今回はまだ終わらないのかなと、途中に一度ちらりと時計を見てしまったので自分的にはきっと映画の中盤、どうしてもやや退屈に感じたのかもしれない。

 

洋画は字幕の方がいいのは当然なんだが、字幕ばかり追ってると映像(たとえば役者の表情だとか舞台の作り込みだとか)を落ち着いて見ることができなくなっちゃうんですよね。ミュージカル映画は特に、歌詞ばかり追ってしまい、肝心の踊りなどをじっくり見れなくて少し疲れるのだ。

うーん、これは映画を観るときの本当に大きな悩みである。

かと言って日本語の歌なんか聴きたくはないしな。などと。

冒頭1時間の気持ちの高まりがちゃんと映画のラストまで持続できなかったのには、おそらく、いささか自分の心も荒んでいるからだろう。

そういうことにしておいてほしい。

おそらく純粋無垢な子供時代から何も変わらない綺麗な御心を持った紳士淑女の皆様におかれましては、さぞ映画を通じて魔法がかけられたことでしょう。。。そうであることを願いたいものです。

 

しかし、そんな荒んだ心を持つお方にこそこの映画を観るべきとオススメしたい。

かつてメリーポピンズに教えを乞うた主人公の二人の姉と弟の兄弟、とりわけ弟の方は結婚して奥さんを亡くし、子供の頃のような純粋に物を見る心をすっかり忘れてしまっている。

ここ最近のディズニーがよくやるノスタルジー攻勢だ。

社会という巨悪に呑まれて枯れ果てたつまらん大人となり、未だにのうのうと生き恥晒しながら生きている観客どもに子供時代のノスタルジーを突きつけて攻撃し、涙腺を破壊するのだ。非常にタチが悪い。俺だってそんな醜悪な観客の一人なんだよ。

だが、まんまとこの商法に負けてしまうのが人間の弱さだ。

人間は懐かしさには決して打ち勝つことができない。

だろう?俺だって高校に戻りたいってこの頃はますます思うね。大人の今の方が楽しいはずなのに、結局懐かしさにゃ抗えねえってわけさ。20歳中盤に差し掛かると大抵皆そんな境地に至るらしいよ。

 

子供という純粋で曇りのないレンズを通して主人公が大切なものに気づいていくという過程が楽しく描かれるストーリーだが、特に好きなのがアニメーションと実写の融合だ。俺が一番好きなディズニー映画は断然魔法にかけられてなのだが、本作でもあれに似た技術が非常によく活かされていたんじゃないかな。

全てがIf。この世界に入り込めたら楽しいだろうなあという気持ちだとか、逆さまになったら面白いだろうなあ、とかいう気持ちをメリーポピンズはさっと汲み取って、それを彼らの前で実現しちゃう。

夢なのか現実なのか分からない。

いや、そんなことはどうだっていいんだ。

とにかくIf。想像の大切さ、それを教えてくれるのです。

自分がこの映画を観ていてじーんと来ちまったのはここ一年、頑張ったつもりでも、やること為すこと何もかも全部が裏目に出て失敗ばかりで、自分という人間はどうしようもないなぁと思いつめていたためだろうか。

だから、ちょっと見方を変えてみるだけでいいんだよ、と、この映画がちょっとした救いをくれたような気がした。

そしたらきっと上手くいかなかったことももう少し上手くできるかも?

ただがむしゃらに頑張るだけじゃダメらしい、努力の方向性が間違ってたら、いくら努力しようったって上手くはいかない。だから子供の頃のような自由で純粋で柔軟な発想ってのは大事です。決して侮ることなかれ。

子供は大人の背中を見て育つし、大人の真似をして育つ。

お箸の持ち方とか、お喋りの仕方も全部。

子供の好き嫌いの原因は実は親にもあったりする。

そんな風に子供は親から大事なことを学ぶが、でも大人こそ子供からたくさんのことを学べるのです。というか学んでほしい。

歳をとるにつれて人間は保守的になるし頑固さに磨きがかかるもんだが、子供のような堅苦しくない自由で夢見がちな考え方もどこかできっとあなたの人生の役に立つはず。

視野の狭い人間は何をやってもダメ。

冗談も通じないつまらんおっさんになんてなっちゃいかんよ〜

 

上手くいかなくて煮詰まってて悩んでる人も、やり方変えたりひっくり返したりしただけで、実は簡単な答えがすぐそばにあったりするかもしれない。

メリーポピンズを観て、皆さんも今一度童心に帰ってみてはいかがだろうか。