リヴォフの地下水道

旅行記や本のレビューや歴史など。知識ひけらかす雑談とか。ロシア・ウクライナの文化愛してる。星井美希トナカイ担当P。

欧州遠征録【10】さよならベルリン→ウクライナの首都キエフへ

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珍しく数日ぶりの投稿です。

今なんとか筆がのってるんですよね。筆のってる時に一気に畳みかけたいタイプなので。

このまま、なんかいい感じに筆がのってくれればかなり嬉しいけど、多分本格的に仕事が始まったらこうは行かなくなりそうだ。。いやあ、がんばりますよ。せめてこのシリーズだけは年内に完結…

いやはや去年もこんなこと言っていたな・・・、

はい今年こそは書き上げます(断言)

 

(2016年9月16日)

ベルリンで普段通り心地よい朝を迎えました。

けっこう朝早くでしたっけ、まあここに来てから毎回朝早くに叩き起こされての移動ばかりだったからすっかり慣れっこですけど、とにかく眠い体を無理やり叩き起こしながら荷物をまとめ、先輩たちのいる部屋に向かう。

T先輩はもう準備が整っているようで、S先輩に一人でちゃんとキエフまで来れる?などと確認していた。

ほーん、カップルって感じ、と言わんばかりに僕は戸口から虚無の目でそれを眺めます。

 

ちなみにS先輩とは一旦お別れといいますか、彼女とはあとでキエフのボリィスピリ空港で合流することになっている。

何故こんなことになっているのかというと、前々回にもお話しした通り彼女は現在アイルランド留学中なので、我々二人とは航空機の予約方法が違うのだ。

彼女と半日ではあるが、一旦離れられるというのは実にありが…いえ、とにかくこれでまた、これまでの旅同様にT先輩と一緒に空港に向かうことになった。

なんだろう、この嵐が過ぎ去った後のような安心感。

 

我々はホテルのそばの駅から電車に乗り、中央駅まで出て、そこからバスで空港に向かいます。

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昨日の例のバウハウス。駅に向かう途中

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ベルリン中央駅

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ルフトハンザのチェックインカウンター

そんなこんなで。

今日はトラブルもなく比較的スムーズに空港へとたどり着いた。

振り返ってみれば前々回のドレスデンみたいに変なところで途中下車することもなく大変スムーズにいっていますね…。

ちなみにベルリンのテーゲル空港から直接ウクライナキエフ・ボリィスピリ空港まで行く便ではなく、乗換のために一度は通過した南ドイツ・ミュンヘン空港に舞い戻ることになっていた。

今日も今日で1日乗り換えと移動だけで時間が潰れそうというわけですね。

空港って出発時刻よりもずっと早くから行っておかないと不安になるから結構大変だよ。

 

さて、、、まぁ特にこれといって、大した困難もなく空港についた我々だが、時刻表や乗り場を確認した後はもはやできることもなくなってしまう。今更ここでお土産買う訳もないし。バッグをごそごそいじくってハリボーのグミを食ったり、あとは

 

あとは。。。

 

あとは、、、ほら

 

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当然ビール。最後のドイツだからね。

白ソーセージをシュバルツビア〜(黒ビール)と一緒にいただきます。

 

やはり昼間に飲むのはビールに限ります。最高。これ以上素晴らしいものなんかないだろ。

でももうこのソーセージとビールを格安で召し上がる機会はなくなるというわけで、それはさすがにショックというか、悲しいところがある。

みんな飯がまずいだのドイツのことを好き放題言うが俺としてはもうビールと肉のつまみがあれば生きていけるんでまずいと思ったことは一度もない。

さすがに野菜は何度か欲しくなりましたけどね。旅行中ケツがおかしくなった。

 

ヴァイス・シュバルツビア(白・黒ビール)とヴァイスブルスト(白ソーセージ)、、、今回のドイツ紀行で覚えたドイツ語はこの程度である。ああ、あとザワークラウト(キャベツの酢漬け)。どれも素晴らしいドイツ語だ、うまそうなので。

ちなみにパウラーナーエルディンガーというドイツのビール酒造にも今回の長旅では大変世話になったので日本に戻ったら是非見つけ出して味わいたいと思った。

最近だと業務用酒店とかで簡単にこれらのビールは手に入る。

通販でも送料が割高だが、比較的簡単に手に入るのでこれはかなりお勧めしたい。

なんかもう旅で飲んだビールの記事を他で一本書いてもいいくらいだなあ。

 

けど、やっぱ一番美味かったのはドレスデンのホテルで飲んだあのビールなんだけど、調べてみるとドレスデン近郊のご当地ビールしかヒットしなかったんですよね〜。。。

つまりは日本じゃまず手に入らん。

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以前にもご紹介したかもしれないがドレスデンのホテルで飲んだビール

多分シュバルターって読むんだと思う

あのビールも死ぬ前にもう一度味わいたいなと思いますね。疲れてたから倍美味く感じたってのもあるけど。なんで早くまたドイツに行かせてくれ。もう一度行かないと死ねない。 

さて、飯も食い終わったらいよいよすることがなくなりますね。。。

 

ミュンヘン空港はクソでか国際空港なので、空港内の移動には電車を使います。

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いよいよって感じしますね

人もさほど多くないターミナルにやってきました。さて、さっさと出国審査を終えてしまいましょう。

 

当然ながらここのエリアにはほぼドイツ人(というか白人)だらけで日本人はおろかアジア人の姿は全く見えない。そりゃそうだ。

入国管理官は三人ほどいたので、我々はその前に並ぶ行列で二手に分かれる。

ドイツ人の入国管理官はやはり、とてもいかつい。。。しかし彼はこちらを少し見ただけで、特に何を聞くこともなくドカンとスタンプを押してくれたので、ダンケ〜とだけ言ってそのまま奥に進む。

 

少し遅れて別のレーンで審査を受けていたT先輩がやってきた。

話によれば、

「めちゃめちゃいかついドイツ人にじっと凝視されて、Sightseeing?と聞かれ、うなずいたら、最後にはGood Luck!とか言われて強くスタンプ押された」

らしい。なんか土産話としても良い感じの体験をちゃっかりしていて。

お前はこれから危険地帯に行くんだぞみたいな脅しか。

まあ、ドイツ人からすればこれから東部戦線に行くようなもんだろ(前世の記憶)

入国管理官に質問されたことはこの段階ではまだ一度もなかったのでちょっと羨ましいなと思ったり。

 

そういうわけで空港で待機。現時刻はおそらく15時くらいだったかな。そしたらもう搭乗時刻。

もはや今回の旅で散々使い慣れたルフトハンザ航空の三列シートの真ん中に座りました。廊下側が確かT先輩。窓際には黒人のお姉さんがいたけど手に持っていたパスポートの表紙を見る限りウクライナのパスポートなんで、多分ウクライナ国籍なんでしょう。

機内アナウンスでは盛んにウクライナ語とドイツ語が流れてきますが、正直ウクライナ語は1mmだけかじったので1mmだけ理解できました。

ブドゥラースカ(英語でいうところのPlease)という単語が言葉の節々についているのは聞き取れましたがそれ以外は当然さっぱり。あとはジャークユ(ありがとう)と、ジェーンドーヴリ(こんちわ〜)くらいかな。

でも実際ロシア語にはかなり近いし一緒の単語も多い。日本語でいうところの青森弁と標準語くらいの違いといえばわかるかな?

(ロシア語は公用語としては使わないのなら、果たしてキエフ市民は日常会話でロシア語を使うのだろうか?といった疑問が湧きます)


というか今回ウクライナへ自分が行こうと思ったのも、大学のゼミの研究テーマである”ロシアとウクライナの関係”というものを実際に現地で体験したいと考えたのがきっかけですし、そりゃ言語なんて両国の関係性を図る大きな指標じゃないですか。こういったところはかなり意識して観察しておりましたよ。

でも付近にいる乗客の話す会話を聞く限り、普通にロシア語だってのが音で分かったので多分みんな日常会話はロシア語なんでしょう。

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着きました。見るからにウクライナ語ですね〜海外で初めて見るアルファベット以外の文字。。。

今日もなにかと情報量が多くて疲れる1日になりそうです。

 

空港ではなぜかあまり写真を撮っていないので、これ以外写真がほとんどありませんが。

ロビーの椅子で一時間程度、ドイツに置いてきたS先輩の到着を待ちます。そんで、その間に容易にはつながらない空港WiFiと格闘します。繋がらないと連絡も取れないので死活問題。

どうにか繋がってひたすら待ちます。

その間やはりすることがないので、タクシー運転手の執拗な誘いを払い除けつつ空港の両替えセンターで手持ちのユーロ紙幣をウクライナの通貨であるグリブナに替える。

空港での両替はレートが悪いのであまりお勧めできませんが、この当時はレートだとかそんなものに一切関心がなかったので気にせず手持ちの紙幣全てグリブナにしてしまいました。

グリブナに変えたところで、さっそく空港のキオスクで買い物。

ジュースとお菓子を買う時にさぁ初ロシア語使うぞ〜〜〜〜と意気込んだのだが、ロシア語で数字なんて言うのか全然覚えてなかったので、店員が〜グリブナですって言ったのを聞き取れない。あ〜なんて惨めだ。

てか逆に俺の使えるロシア語って何だ???ってなりました。

そりゃそうだ。語彙力なさすぎる。

まぁこういう時は紙幣を店員に見せる。店員のお姉さんは普通に紙幣を選んでくれてそれで無事会計は終了。疲れるね。

それからようやくベルリンからの便が到着したとのことで、入国ゲートの前で彼女が出てくるのを待機。他にも同様に待機している人たちがいっぱいいて、中にはロマンチックに赤いバラの花束を後ろ手に持って彼女を待つ男性の姿もありました。海外の空港ならではだね。

 

ようやくS先輩のおでまし。

かなり時間がかかったようで、見れば外はだいぶ暗くなりかけていた。ちょっと前までは外が暗くなるのもだいぶ遅かったのに、今ぐらいになるともう日暮れが早くなってますね、まだ時間だって17時前後だというのに。

空港を脱出するためにはタクシーを使うか、バスを使うかがあります。

そりゃ当然タクシーよりバスの方が安いに決まってる。

でもバスの方が乗り場とかややこしいし。でも都合よくキエフ市内行きを示すバスを発見するので、我々はやはり入り口付近で客を捕まえようとするタクシー運転手を振り切り、バスに乗り込んでいきます。

でもチケットはどうするのだろう?それに関しては、運転手が後部座席から回って行き、乗客からお金を集めて回っていたのが見えたので一安心です。

そしてここでロシア語を齧ったつもりでいる自分の出番。

 

トゥリー、ビリェート、パジャールィスタ(チケット3枚ください!)

はい、これはちゃんと言えたよ、ロシア語でね。

ちゃんと3枚もらえたし。値段は一人大体60グリブナ。(240円くらい?)安い。こんな安いものなんか。値段はあらかじめ調べてたのでわざわざ聞くまでもない(どうせ聞いてもわからない笑)

「やるじゃん」すると後ろの席から先輩たちが珍しく褒めてくれました。なんか嬉しいね。

でもこの時くらいのもんだ。

そんでまぁあとは揺られるだけで、順調にキエフ中央駅まで走る。

大体一時間程度だろう。

駅に着く直前、前の座席に座っていたロシア人のお姉さんに、

「イズビニーチェ。エータ、ツェントルバクザール?(すみません、ここは中央駅ですか?)」って聞かれました。

とても簡単なロシア語だったので奇跡的に理解ができ、ダー、とだけ答える。

「スパシーバ」

そんだけの会話だったけど、初めてまともにロシア人と会話できたことが嬉しかったなと。

まあとっさのことで少し緊張したので、「どういたしまして=パジャールィスタ」が出てこなかったのがちょっと悔やまれるけど。

 

さて、ウクライナに着いたら外はさっきより断然暗い。

しかもどことなく治安悪そうな雰囲気が漂っていて。。

着いたら飯を食いたい訳だが、どこで食おうか迷った挙句、駅前の煌々と光るケンタッキーの看板に昆虫のように吸い寄せられた我々は結局そこで食べることに。大荷物を抱えて店内になだれ込んできたアジア人3人、周囲からの視線がとても痛い。

明らかに浮いている。

カウンターのお姉さんに注文しようと思ってロシア語で話しかけようとするが、なんか言葉がうまく出ない。そうしているうちに向こうが英語を話してくれたので助かりました。若い人はさすがに喋れるらしい。本日得た学び。

日本で言うところの大きめのバケツサイズの骨付きチキンを抱えて店内の席で食べたのだが、疲れすぎていて味はよく覚えていない。

店内を出た後こっからどうやって予約していたホテルに向かおうか迷うものの物騒で歩くわけはないので適当にタクシーを捕まえる。

でもだいぶ適当に選んでしまったので、ぼったくりタクシーを引き当ててしまう。

英語通じねえし何言ってんのか分からんし。

いくらか訊こうとして紙に書いた数字の羅列見せたら悪気もなさそうに高めの数字選んで、こりゃまずいなと思った。2000円かあ。

日本よりは安いし別にいいんじゃないの?と思ったのだが、空港から駅までも240円程度だってのに、その距離の何分の一しかないことを考えると。

・・・まあ、高いか。

そのことを後部座席に控える両先輩方に伝えるとさっそく「高すぎ、値段交渉して」とまたしても不機嫌なS先輩にそう偉そうに言われてしまう。

うっす。そうっすよね。

高すぎる・・・ってロシア語でなんていうんだ???

知ってるはずなのになんかぱっと出てこなかった。言葉の壁に阻まれた上、自分自身初めての海外。正直かなりパニックだった。

「交渉できないのでまぁ、今日はこの値段で諦めましょうよ・・・?」と言うと、「交渉しろよ、なんでできないの?」などと彼女から不機嫌に背後から駄々をこねられる。

本来ならば言い返してぶん殴りたいところだが先輩なのでそれはできない。非常に悔しい思いをした。まあ恨むべきは自分のロシア語力のなさなのだが・・・。

「ねぇなんで交渉しないの????ぼったくりじゃん、最悪〜〜〜とかいう文句を後ろから果てしなく垂れ流され続けること数十分。

S先輩の言葉に妙に傷つけられながらようやくホテルに到着した。

なんか倍疲れてしまった、、、。

 

タクシー運転手にとっても良いカモである。ほんと色々と最悪な旅だ。

そして、なんでこんなやばい女を連れてきてしまったのだろうか・・・??

タクシーを降りた途端いろいろロシア語で言ってきたが何のこっちゃわからんし、分かりたいとも思わん。

なんか、どうやら連絡先を教えようか?と言っているそう。つまりまたタクシーをここに呼べって訳である。

さすがにそこではニェート、と言って彼を突き帰したが。

 

・・・ずいぶん長くなってしまいましたがようやくホテル・ウクライナです。

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ホテル外観(これは後日撮影したものになりますが)

ソビエト時代からある由緒正しき立派なホテル。

中央広場(マイダン)のど真ん前にある、ウクライナの顔と呼ぶべき立派なホテル。

受付のお姉さんがすごい美人で腰抜かします。

まぁこういうところでウクライナに来たなあ〜と感じる。

それで、こちらが客室になります。

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うわぁ、こっちも綺麗だな。。。

てかベッド二人分あんじゃん。。

まあしかし残り数日あるしどう楽しむかも自分次第なので、いろいろ嫌なこともあったが、頑張って気持ちを切り替えようとした。

Twitterで”ややホームシック気味。”と呟くと、ガルパン好きのフォロワーが”雪の進軍”のリンクを貼ってくれました。ロシアだからなのか?正確にはロシアでもないし冬でもないけど、なんか励まされる)

しかし我々は、まだ明日の夜に起きる、もっととんでもないトラブルによってもう一泊ここに過ごすことになるとはまだ予想もしてなかった・・・。

 

(続く)